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「私」という男の生涯 石原慎太郎 [感想]

石原慎太郎の自伝と云うことで、興味を持って読んだ。

読後感は…暗い。石原慎太郎というと、華々しいとか硬派というイメージがあるが、その実、暗い。

自伝だが、生涯を時系列に書いたものではないので、石原慎太郎の生涯については、別の本を読んだ方がいい。そのうち評伝が書かれることだろう。

最初は、海とヨットの話が多い。そのあと、女性遍歴が述べられているが、楽しかったのだろうかと思う。その人の性格にもよる部分が大きい。

次が政治家としての話だ。政治の内幕をほんの少しは知ることが出来る。都知事になってからの話の方が面白い。石原慎太郎の都知事のしての評価は、末期のスキャンダルもあり、芳しいものではない。

しかし、逼迫した都財政を再建したことは間違いなく、評価されるべきだ。複式簿記を導入したが、その後になっても後続するところがなく、国も多くの自治体も単式簿記のままである。

石原以後、小池都知事になって 再び財布の懐が緩み、今また都財政は崖っぷちである。それを誰が知ろう。

この自伝の最後は、身体が不如意になってからの嘆きに満ちている。自分ももうすぐそうなるだろうから、身につまされる。というか、恐くなる。ここはじっくり読んでおきたいところだ。

(追記)

石原慎太郎の生涯については、ウィキペディアで詳しい。力作だ。

石原慎太郎は1932年9月30日に生まれ、2022年2月1日に亡くなった。89歳だった。

本屋へ行き、石原慎太郎の小説を探したが、なかったですね。1冊もない。古くて、読まれなくなってしまったのか。

幻冬舎文庫の「市という最後の未来」という曾野綾子との対談本を見つける。石原の死生観がよく出ている。自伝よりは、こちらの方がいい。



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