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ベルリン・フィル演奏会 [感想]

2019/11/19

ベルリン・フィルの演奏会を、川崎ミューザで聴く。指揮は、ズービン・メータだった。

去年、イスラエル・フィルの演奏会を聴こうと思っていたら、メータが病気ということでコンサートが中止になった。トシもトシだから、復帰できないだろうと思っていた。

指揮はできるようになったものの、メータはヨボヨボ歩きでステージに出てきた。足元がおぼつかない。倒れるんじゃないかと思った。もちろん、椅子に座って指揮した。頼りない気がしたが、音楽が始まれば別物である。

ベルリン・フィルの演奏会に出かけたのは、一度も聴いたことがなかったからである。43000円のチケット代金は恐ろしいが、これが最後と思えば、奮発する理由になる。完売かと思っていたが、何席が空席があった。サントリーホールの最終公演のチケットもホールで売っていたから、完売満席とはならないようである。

新しい常任指揮者のキリル・ペトレンコだったら、と思う。来年の6月に公演があるが、指揮はグスターボ・ドゥダメルの予定である。

高齢になると、聞く自分の体調が問題だ。ひどい体調だとボンヤリしてしまい、ろくに聞けない状況になる。演奏会の途中でおかしくなることもある。こういう経験が積み重なると、演奏会には行きたくなくなる。金の無駄だ。

19日は、朝と昼がひどい状態で、2度居眠りをした。それが幸いして、夕方から体調が良くなった。運が良かった。

プログラムは、最初がリヒャルト・シュトラウスの「ドン・キホーテ」。チェロはルートヴィヒ・クヴァント。ヴィオラはアミハイ・グロス。

リヒャルト・シュトラウスの交響詩はクルクル、ダラダラ続くように感じる。蛇がとぐろを巻いているような曲で、どこが頭だか、どこが尻尾だか分からない印象を受ける。最後は、早く終わらないかなと思ったぐらいである。演奏が悪いわけではなかった。チェロもヴィオラも優秀で、感じるところがあった。

メインはベートーヴェンの「英雄」だった。プログラムとしてはどうかと思うが、リヒャルト・シュトラウスは自作の「ドン・キホーテ」と「英雄の生涯」をペアで演奏するように提唱していたらしい。「英雄の生涯」の代わりに「英雄」を持ってものと思われる。筋は通っている。

「英雄」は大家の演奏で、小粒な現代風の演奏とは違った。この方が私、古老は安心できる。いつも第2楽章で退屈するが、今回はだれなかった。オーボエが優秀である。ジョナサン・ケリーという奏者だが、私は名前を聞いたことがない。

フルートはエマニュエル・パユだったはず。灰色の頭になっていたので写真とは印象が違った。クラリネットはオッテンザマー(弟)だったと思うが、今回は目立つところがなかった。

私がクラシックに興味を持った当時、ズービン・メータは新進気鋭の指揮者だった。小澤征爾、クラウディオ・アバド、ローリン・マゼールが若手の有望株だった。

あれから半世紀が過ぎ、アバドとマゼールはすでに亡くなり、小澤征爾は30分ぐらいしか指揮できない状況で、半ば引退したも同然。メータのヨボヨボ歩く姿を見ると、時代が過ぎ去ったと感じる。

オレも同じなんだなぁ…。

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